
「NISAを始めたのに、もう含み損が発生してしまった。売った方がいいの?」
そんな不安を抱えていませんか。焦って売却する前に、まず正しい知識を身につけることが大切です。
NISAには損益通算・繰越控除ができないなど、知っておかないと損をする場合があります。
この記事では、含み損が出たときの正しい対処法や損切りの注意点、長期投資を成功させるコツを分かりやすく解説します。

NISAで含み損を抱えた場合の対処法

焦ってすぐに売却してしまうことは避けましょう。
つみたて投資枠と成長投資枠とで含み損を抱えた場合の対応が異なります。それぞれの特徴を理解したうえで行動しましょう。
つみたて投資枠の場合
含み損が出たとしても、積み立ては継続することが基本です。
つみたて投資枠は、毎月一定額を自動的に買い付けするため、価格が下がっているときにはより多くの口数を購入できます。これを「ドルコスト平均法」と呼び、平均購入単価を下げることが可能です。
例えば、毎月1万円を積み立てている場合、価格が半分になれば同じ金額で2倍の口数を買うことができます。
慌てて積み立てを止めてしまうと、この恩恵を受けられません。相場が回復したときに利益を取りこぼす可能性もあります。含み損はあくまでも「まだ確定していない損失」です。売却しない限り、損失は確定しないと覚えておきましょう。
成長投資枠の場合
成長投資枠で含み損が出た場合は、保有銘柄の見直しが有効です。
つみたて投資枠とは異なり、成長投資枠では個別株やETFなど値動きの大きい商品を保有していることがあります。そのため、含み損の原因が「一時的な相場下落」なのか「その銘柄固有の問題」なのかを切り分けて、冷静に判断しましょう。
一時的な相場下落かどうかは過去の株価チャートを参考にすると分かりやすいです。
以下のように、株価は経済状況によっては一時的に下がりはするものの、長期目線で見ると上昇し続けていることが分かります。

※本チャートは過去の推移を視覚化するためにAIで作成したものです。厳密な数値を保証するものではありません。
業績悪化や事業環境の変化など、銘柄の本質的な価値が下がっていると判断した場合は、損切りも選択肢に入ります。一方、相場全体の下落が原因であれば、保有を続けながら回復を待つ判断もあり得ます。
感情ではなく、投資した理由を基にしっかり判断していくことが大切です。
NISAで損切する際の注意点

損切りにはリスクが伴います。売却前に知っておくべき注意点を確認しておきましょう。
元本割れで損が確定する
損切りをすると、それまでの含み損が「確定した損失」になります。売却しない限り、損失はあくまでも帳簿上の数字に過ぎません。しかし、一度売ってしまうと取り返しがつかなくなります。
特に長期運用を前提とした投資信託は、一時的に値下がりしても、時間をかけて回復するケースが少なくありません。
また、NISAの最大のメリットは運用益が非課税になることです。含み損の状態で売却すると、そのメリットを活かす機会も失ってしまいます。本当に今売る必要があるのかを、冷静に見極めることが大切です。
損益通算や繰越控除ができない
他の課税口座でも投資をしている場合、NISAの口座で損失が出ても利益と損失を相殺することはできません。
通常の課税口座であれば、「損益通算」と「繰越控除」という2つの制度を使うことができます。
損益通算とは、同じ年に出た利益と損失を合算して税負担を減らすことです。繰越控除とは、損失を翌年以降3年間にわたって将来の利益から差し引けることです。
例えば、課税口座で70万円の利益が出ていても、NISA口座の50万円の損失は相殺に使えず、課税口座で得た70万円の利益は全額課税対象となります。
NISAは利益が非課税になる半面、損失面での優遇措置がない点を理解したうえで、売却を判断しましょう。
相場下落時のあるべきマインド

相場が下落して含み損が出ると、「早く売らなければ」と焦る気持ちになりやすいです。しかし、長期投資において価格の下落は避けられない通過点であり、慌てて売却するのは得策ではありません。
人は利益よりも損失を大きく感じる心理的な傾向(損失回避バイアス)があるため、下落局面では冷静な判断が難しくなります。そのような状況でも、「10年・20年後に資産を増やす」という当初の目的を思い出すことが大切です。
むしろ価格が下がっている際は、同じ金額でより多くの口数を購入できるタイミングでもあります。積み立て投資を継続することで、将来の回復時に得られるリターンが大きくなる可能性があります。
下落相場を「損失の局面」ではなく「仕込みの機会」と捉えることが、長期投資を成功させる秘訣です。
NISAで資産運用する4つのコツ

NISAで資産を着実に増やすには、正しい運用の考え方を身につけることが重要です。ここでは、長期的に成果を出すための4つのコツを紹介します。
1.積み立て投資を継続する
積み立て投資は、相場が下がっているときこそ継続することに意味があります。毎月一定額を買い続けることで、価格が高いときは少なく、安いときは多く購入できるのが特徴です。
相場が回復したとき、価格が安いときに積み増した分が利益を押し上げてくれます。下落局面で積み立てを止めてしまうと、この恩恵を受け損ねることになりかねません。焦って手を止めず、淡々と積み立てをし続けることが長期投資の成果につながります。
2.株価のアップダウンに一喜一憂しない
NISAは10年、20年単位で運用する長期投資に向いた制度です。短期的な値動きに感情を揺さぶられると、「下がったから売る」「上がったから買い増す」という判断ミスを招きやすくなります。
過去のデータを見ると、世界経済は短期的な暴落を経験しながらも、長期的には右肩上がりで成長してきました。日々の損益をこまめに確認する習慣があると、必要以上に不安を感じる原因になります。
資産運用アプリの通知をオフにするなど、意識的に相場から距離を置く工夫も有効です。長い目で見れば、一時的な下落は通過点に過ぎません。
3.余剰資金で投資する
投資に回すお金は、余剰資金に限定することが鉄則です。
生活費や急な出費に備えた「生活防衛資金(目安:生活費の3〜6ヶ月分)」を手元に確保したうえで、余った資金を投資に充てましょう。生活に必要なお金まで投資に回してしまうと、相場が下落したときに損失を抱えたまま売却せざるを得ない状況に追い込まれます。
余剰資金で運用していれば、含み損が出ても「いつかは回復する」と冷静に構えていられます。長期投資の成功には、精神的な余裕が必要です。
4.分散投資する
投資先を分散させることは、リスクを抑える基本的な考え方です。
「卵をひとつのかごに盛るな」という格言の通り、特定の国や資産に集中して投資すると、その市場が暴落したときに資産全体が大きなダメージを受けます。
例えば、国内株式だけでなく米国株や新興国株にも投資しておけば、日本市場が低迷しても他の市場でカバーできる可能性があります。
また、株式・債券・REIT(不動産投資信託)など、値動きの異なる資産を組み合わせることも効果的です。NISAの成長投資枠を活用し、多様な資産を組み合わせてポートフォリオを構築しましょう。
まとめ|含み損の正しい対処法からNISAでの資産形成のコツについて解説しました

NISAで含み損が発生しても、慌てて売ることは避けましょう。
つみたて投資枠では、毎月一定額を積み立てしているので、価格が下がるほど多く買えます。そのため積み立てを継続していくことが望ましいです。
成長投資枠では「一時的な下落か、銘柄自体の問題か」を冷静に見極めましょう。また、NISAの損失は他の課税口座の利益と相殺できない点も注意が必要です。
下落局面を「安く買えるチャンス」と前向きに捉え、長期目線で運用を続けることが大切です。

